本「じぶん、まる!」

~子どもたちといっしょに、性の多様性から『じぶん』について考える~

文と絵 田中一歩

(解放出版社) A5判 143ページ 定価1200円+税

 

2023年3月、新刊『じぶん、まる!」 ~子どもたちといっしょに性の多様性から「じぶん」について考える~ができました。2019年~ちゃいるどネットOSAKA情報誌での連載(現在も連載中です!)を読んでくださった出版社の方に声をかけていただき、今回、本にすることができました。

 

***本の「さいごに」より抜粋***

 

 この本では子どもたちのことを中心に書きました。

しかし、いつの時代もいろんな性を生きる人たちはいたということを忘れてはいけないと思っています。

 歴史のなかでじぶんの思う性を生きたくても生きることができなかった人たち、同性を好きだということや、好きがわからない、恋愛感情がない、ということを誰にも言えず、言わずに生きてきた人たちがいます。

 

 その人たちがその時その時の時代のなかで、「じぶんはここにいる。」とそれぞれに表現し、闘い、苦しみ、笑い、悲しみ、連帯してきたからこそ、今、ボクたちはここにいるのです。その歴史を大切に、今を生きる子どもたちといっしょに生きていきたいと思っています。

 

 ボクたちが出会っている小さな子どもたちは、一生懸命、「こうありたいじぶん」を出しています。それなのに「小さい子どものことはまだわからないから、生まれてきた時に割り当てられた性別で育てたほうがいい。」などと言う大人たちもいます。またその子の今のキモチを大事にかかわっている大人に対して、「あなたの育て方が悪い。」ということばをかける人もいます。

 

 ボクはじぶんを生きたいと一生懸命言っている小さな子どもたちの存在を、いないものにしてはいけないと思っています。

小さいから……子どもだから……それは理由にはなりません。小さくても、子どもでもじぶんを生きる権利があります。そして、その小さな子どもたちの近くで悩みながらもその子どもたちのキモチを大事にしようとしている大人たちがいます。

 

 第4章では、ボクたちが出会った何人かの小さな子どもたちのことを書きました。わが子のことやわが子を通して思ってきたこと、今思っていることなど。この本に載せることを承諾してくれた保護者の方には本当に感謝しています。ありがとう。

 

 この本が、今ひとりぼっちで悩んでいるかもしれない大人たちにとって、〝ひとりじゃない〟と思える、そんな本になることを願っています。 そして、「子どもたちの大事にしたいことをいっしょに大事にしたいよ。」と思える大人の人がひとりでも増えたらいいなぁと思っています。また、 そんな大人と大人がつながることができるきっかけになればとてもうれしいです。

 

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【本の内容】

 

はじめに

 

第1章 性のあり方・性の多様性との出会い

・大人になって知ったこと

・そこにいるのに、いないものにしてきたのはボク自身だった

・じぶんを表す「ことば」との出会い

 

コラム1 誰にも言えないボクの「ひみつ」

 

第2章 〝出前講座「じぶんをいきるためのるーる。」を子どもたちに届けよう〟ってどんな講座?

・にじいろi-Ru(アイル)とは

・子どもたち向けの出前講座について

 

講座の目的/4歳児・5歳児の講座の内容/小学生の講座の内容/講座がはじまる前に

・ともだち紹介

〈ともだち紹介〉で子どもたちと考えたいと思っていること

〈ともだち紹介〉で大事にしていること

・じぶんちゃんづくり

<じぶんちゃんづくり>で大事にしていること/エピソード

・ボク自身のこと、コンちゃんとボクが出会った人たちの話

 大事にしていること/エピソード

 

コラム2 「あんたが、この子のこと一番かわいそうやって思ってるんちゃうん?」

 

第3章 子どもたちとの出会いのなかで見えてきたこと

 

・就学前4歳・5歳

「もーわからん!そのこにきいてみないとわからへん。」5歳

「だって、おとこのこがおとこのこをすきってきもちわるい。」

 5歳

「ちんちんあるおんなのこなんかおらんやんなぁ??」5歳

「いっぽさん、なまえかいて。」5歳

 

・小学生

「わたしは、男だけど女になりたいです。」1年生

「ちゃんとしてる、ちゃんとしてない。」2年生

「やっとふつうの子がでてきた!」1年生

「いっぽさんは、なぜじぶんのことを男の子っておもったんですか?」2年生

「男の子?って言われたらスッキリしなく、女の子?って言われるとなっとくがいくからです。」4年生

「ぼくみたいな人のことをおかまって言うと思います。」4年生

「ルールは総理大臣が決めるもんや!」3年生

「ぼくの好きな人のことが話せて、うれしくて涙が出てきた。」4年生

「やったぁ! ぼく、男の子とけっこんしたい!」2年生

「オレ、3歳のときからトラブルメーカーって言われてる!」3年生

「わたし、今日この子に出会えてめっちゃうれしい。」6年生

「それはあんたのふつうやろ!言うとくけど、あんたのふつうとわたしのふつうもちがうからな。」6年生

「今、なにかしてほしいことはないけど、ただ聞いてほしかった。」6年生

「ぼくは、女の子半分、男の子半分でいいんや!」6年生

「いっぽさん、わたしは女か男かどっちやと思う?」2年生

 

・中学生

「ぼくの性はふつうです。」

「LGBTの子と出会った時、気をつけていることはありますか?」

 

コラム3 “まるちゃん”を通じて「じぶん」や「ともだち」について考える

 

第4章 小さな子どもたちと、その保護者との出会い

「Aちゃんはおんなのこです。ってみんなにちゃんというてほしい」4歳

「だれもぼくのことおんなのこっていわなかったんだよ。」3歳

「みて~!おかあさんがまちがえてリボンつけてん。」3歳

「いっぽさん、おとこ?」5歳

「ぼくはスカートはいていいですか?」4歳

 

コラム4 じぶんの「こうしたい」「こうありたい」を大切に

 

第5章 ボクたちが思う「一人ひとりの性のあり方が尊重される園・所・学校」とは

・「あたりまえ」を問い、変えていく

・「教える」ではなくいっしょに「考える」

・0歳から〈性のあり方〉〈性の多様性〉を知ることの大切さ

・権利の不平等

・「理解」「思いやり」「受け入れる」ではなく「尊重」を

・いろんな大人が存在できる園・所・学校

  (職員室にもいろんな人がいる!)

 

コラム5 いろんな人との出会いを通して、ボクはボクを生きている

 

さいごに

 

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*メッセージをくださる方へ*

     にじいろi-Ru(アイル)からの返信メール ( jibunrashiku1999@gmail.com ) を受け取れるようにしておいてください。

 

 

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